とりあえず車を楽しむ

BMW 320d(F30)を借りて乗ってみました。(エンジン・走り編)レガシィ乗りの感想

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前回の続きです。BMW 320d(F30)のエンジン・走りについての感想を書きます。

 前回(内装編)はこちら ↓

ディーゼルエンジンはダッシュ力が頼もしい

320dには2リッター4気筒のディーゼルエンジンが搭載されています。私が乗った後期型は前期型よりパワーアップしているようです。

エンジンスペック
最高出力:190ps/4000rpm
最大トルク:40.8kgm/1750~2500rpm

エンジン始動~アイドリング

エンジンを始動するとガラッとディーゼル車っぽい音を立てます。アイドリング時のガラガラ音はなかなか大き目だと思います。とくに車外から聞く音はトラックのエンジン音のようです。この音で後ろから近づいてくると多分トラックが来たと思いそうです。静かな住宅街でのアイドリングには気を遣うかもしれません。車内にいても信号待ち時などではやはりガラガラと聞こえます。

長距離ドライブで疲労がたまっているときはうるさく感じるかもしれませんが、アイドリングストップが装備されているので、問題はなさそうです。

街乗り

トルクの大きいディーゼルエンジンに8速ATの組み合わせのため、信号待ちからの発進では、かなりスムーズにスピードがのります。メーターが260kmスケールでメモリが小さいということもあり、スピード感を得られにくく、気が付いたら60km/hに達しています。

ただ、8ATがいつ変速しているのか分からないくらいテンポよくシフトアップしていくこともあり、正直、街乗りではディーゼルのパワー感は分かりにくいと感じました。8速もあれば、普通のガソリン車でも同じような感じで加速しそうだなとも思えました。

でも店の駐車場から道路に出て一気に加速するときはあっという間に法定速度に達するので、あーこれがディーゼルの加速かなと感じました。

エンジン音に関して、信号待ちから発進して巡行スピードにのせていくという場面では1速、2速あたりでは回転数があがり、ガララララランッとディーゼルらしい勇ましい音がします。私のBLレガシィのEJ20も発進から加速するときの1速、2速をつかっているときあたりはトルクがない割にはダダダダダという音でうるさめなので、そんなに気にはなりませんでした。

アイドリング時や発進時には気になるガラガラ音は巡行しているときは非常に静かで、ディーゼル車に乗っていることを感じさせません。

峠・高速

ディーゼルエンジンの真価は峠・高速(料金所ダッシュ・合流のときだけ)で発揮されました。

料金所のETCゲートをくぐり、アクセルを踏み込むと後ろから蹴飛ばされるように加速をはじめ、ほとんど回転を上げずにポンポンとシフトアップしていき、あっという間に100km/hに達します。美味しい回転域を使用して加速していき、一定のトルクを出し続けているような感じです。

レガシィGTの料金所ダッシュだと、最初ターボラグがあった後にグーーンとパワーの出方と比例して車速が伸びていく感じですが、320dは最初でドンと後ろから押されて、そのトルクがずっと続いていくような感じです。そのままアクセルを踏み込んでいけば、レガシィの方が伸びのある加速で馬力がある分速いです。

スペックだけで見ると、320dは190PSでたいしたことないやと思ってしまうのですが、実際に走らせると、アクセル踏んですぐに40kg/mのトルクを発生させ、8ATがトルクもりもりのおいしい回転数を保ちながら、ポンポンと加速し続けるので、ものすごいダッシュ力だと感じます。

奥多摩周遊道路の急坂ではよりディーゼルエンジンのポテンシャルが分かりやすかったです。急坂でもまるで平地を走っているかのごとくダッシュしてくれます。コーナー抜けての立ち上がりも非常に鋭いです。

ディーゼルエンジンが大トルクをもつことは知識としてはありました。でもYouTubeでディーゼル車の0-100km/hを見ているとタイム自体はそこまで速くなく低中回転域のトルクが大きいだけですぐに頭打ちになるし、絶対的な速さはない、所詮はディーゼル車だと正直なめていました。

実際は非常に速い車だといえると思います。急坂をハーフスロットル(もっと踏んでるかも)で100km/hまで加速させる場面でも途中でパワーが鈍るようなこともなく、一気に達します。正直、ディーゼル車の0-100m/hタイムはあまり参考にならないと感じました。スペックだけ見ても読み取れないポテンシャルがあると思いました。

例えば300PSある車でも公道を走る上で、アクセル全開で高回転まで回して300PSを発生させることは普通はないと思うので、トルクがどのように出るのかが実用上の加速においては重要だと思います。

でも、マニュアルモードにして回転数をあげてみるとエンジンが唸るだけで明らかにトルクが落ちているのが分かったので、アクセル全開にしたときのがっかり感はありそうです。エンジン回したときの気持ちよさというのもありませんでした。320dの速さには8ATがディーゼルの高回転でのトルク不足という弱点を補っているということも寄与していると思います。

また、エンジンは1500回転も回っていれば、坂道でもぐんぐん登っていきます。ディーゼルエンジンは重いものを運ぶトラックのイメージがあるので、トルクはあるが鈍くさいイメージがありましたが、320dに乗り、そのイメージは払拭されました。速いというよりも猛ダッシュ・鋭いという言葉の方がしっくりきます。

ドライブフィール

ブレーキ

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ブレーキはMスポーツ以外はこのサイズなのでしょうか?片押しピストンのブレーキでした。ブレーキフィールは踏み始めはまったり効き、ある程度ペダル踏み込んだところで急に効きが強くなるポイントがありました。微調整が難しく街中でのブレーキ時には少々ぎくしゃくしました。

BLレガシィのブレーキはもうちょっとがっつり効いてほしいとも思うのですが、踏めば踏むだけ効くブレーキ(絶対的制動力についてではない)という感じなので、制動力のコントロールはしやすいです。

タイヤ

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タイヤサイズは前後205/60R16でした。ブリヂストンのTURANZA  ER300のランフラットタイヤです。名前の横に☆マークがついているのでBMWの承認タイヤのようです。

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この車格に対して前後205というのは少し細い気もしますが、40kg・mのトルクをしっかり受け止めて滑ることもなかったので、問題はないのでしょう。峠を気持ちよく走るのにはグリップ力がやや心もとなく感じました。

高速安定性

BMWはアウトバーンを超高速で走れるように作られているから高速安定性が抜群といわれたりするので、高速での安定性が気になっていました。しかし、今回の試乗では高速道路も走りましたが、交通量がそこそこあったため、ゆっくりとした走行になり、いまいち分かりませんでした。でも普通に安定していると思います。

ワインディング走行

 3シリーズを借りて一番やってみたかったのが、ワインディングを走ることです。足回りやハンドリングが良くスポーツセダンのベンチマークといわれるこの車がどんなドライブフィールなのか、ワインディングに持ち込むのが一番分かりやすいと思います。

まずはくねくね道を走ってみて、ステアリングを切れば、車全体がきれいに反応して動いてくれる印象をもちました。ステアリングをちょっと切っただけで、ひょいと向きが変わるというのではなく、操作に対して忠実に反応してくれるというような感じです。ステアリング切った時の車上部の遅れが少ないというか、動きに塊感のようなものがありました。

足は程よい硬さで、乗り心地もよく、操縦性も良かったです。私が借りたのは走行距離35,000kmの個体でしたが、ショックアブソーバーの減衰力のへたりも感じませんでした。段差等で大き目の入力があった際、フロントが沈んだ後、もとに戻るときに上向きに跳ね上がることなく、すっと元の位置に収束したのにはさすがだと思いました。

コーナリングの中でも一番爽快なのは登りでステアリングを程よくきれるくらいのRの大きいコーナーに侵入し、アクセルを踏み足して抜けていくときです。まさに駆けぬける歓びを感じられる瞬間です。ずっと同じようなコーナーを走っていたいと思えるほどでした。

下りでもブレーキで前に荷重をかけた状態でステアリングを切れば、フロントが切れ込んでいきます。86やロードスターのように下りをひらひらと走り抜けるような感じではありませんが、適度なスピードで走るときは非常に気持ちいいです。3シリーズはサイズ的に決して小さくはないですが、非常にコンパクトな車を運転しているかのようでした。

下りのワインディングでは重い車は楽しめないと思っていましたが、車両のバランスの良さもあるのか十分に楽しめました。ただ、標準タイヤは少し物足りないですが。車重はレガシィよりも重い(1570kg?)ですが、数値程の重さは感じませんでした。

マニュアルシフト

 私が乗った320dにはパドルシフトはありませんでしたが、シフトレバーにマニュアルモードがついていましたので、試しにつかってみました。

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手前に引いてシフトアップ、奥に倒してシフトダウンです。レスポンスは特別速くもなく、普通ですかね。そういえば、86のATのパドルの応答はものすごく速かったです。

320dのマニュアルシフトはワインディングではいまいち使いどころが分かりませんでした。シフトレバーを横に倒してマニュアルモードにするとギアは固定されるので、減速時、加速時両方でシフトレバーを操作して変速する必要があります。

ディーゼルはトルクの出る回転域が狭いので、コーナー立ち上がりのシフトアップはせわしなくなります。ATの自動変速に合わせてギアを上げていった方がスムーズにトルクが出て走りやすいと思いました。マニュアルモードでシフトアップを忘れうっかり回転をあげてしまうとエンジンは唸りますが、トルクは細くなってしまいます。

コーナリング途中でシフトアップやキックダウンをしないので、アクセルを踏んだときのトルクを一定にできるというメリットはあると思いました。

 

駆けぬける歓びがつまっている

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なんだかんだ言ってやっぱり楽しい車でした。私みたいな素人が乗っても前後重量配分50:50とかそういうのは分からないですが、ワインディングに持ち込むとこの車がスポーツセダンと言われる理由が分かるような気がします。

BMWのキャッチフレーズ「駆けぬける歓び」というのはよく言ったものだと思います。ドイツ本国ではどのようにいうのかは分かりませんが、この表現を考えた人はすごいと思います。「走るよろこび」でもなく、「コーナリングのよろこび」でもなく、「駆けぬける歓び」というワードがしっくりきます。短い言葉ですが、BMWの車はどんな車であるのかが、この言葉に凝縮されていると思いました。

峠を攻めるとかスピード出して走るのではなく、程良いワインディングをクールに駆け抜けていくことに歓びがあるんですよね。

人にBMWは他の車とどう違うの?と聞かれると駆けぬける歓びがある車とか格好つけて言ってしまいそうです。(笑)

レンタカーを返却し、家に帰ると早速、カーセンサーでF30の中古価格を調べ始めました。(笑)新型3シリーズも出たことだし、1,2年してF30後期の中古相場が下がってきたらまじで欲しいかも。

 

 

※アウディのTT RSクーペ 6MTにも試乗しました。

 

 

 

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